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舞台アサルトリリィ イルマ女子美術高校編 The Gleam of Dawn 感想

 配信アーカイブ終わってから書き始める奴がいるらしい。

 鮮度の高い感想はこちら(↓)とかツイッターから。

@Hru_asaliさんのツイート一覧 | fusetter(ふせったー)

始まる前のお話

 イルマ舞台が始動したのが丁度1年前位?オーディションの告知みたいなのがあって、そこでは明確にイルマって言われてなかったと思うが。
 まあ東京御三家の残りのイルマだろうなとは。明確に公示されたのはいつか忘れたけど二川さんがツイッターでハコルベの紹介とかがっつりしてたのでそこら辺からまともに意識するようになっただろうか。

 と、二川の動きもあったわけでキャラとかは見てたしこの子気になるなみたいなのも居たけど、設定上の話だけだとどうにも入り込み切れない感覚ではあった。シャイネスの設定本も出てたから買ったけど結局公演始まるまで誰がシャイネスで誰がハコルベかもやや怪しいレベルだったり。

 柳、ルド女、御台場と舞台を経験してきた身ですが、やはりイルマの展開の少なさからやや不安があったり。一番最初に見たのが柳の舞台だったからルド女、御台場のキャラも一部ではあるけど分かってるのに対してイルマは日葵以外全然分からないのは怖かったね。柳舞台最初に見たときも柳以外一ミリも知らんかったけど、まあ当時と今ではアサリへの造詣が違い過ぎるので感覚的には全然違う。

全体の雑感

 そんな浅い感じで入っていったけど実際舞台見てどうだったん?って話をすると、とても良かった。杞憂もいいとこ。

 これまでの舞台シリーズに引けを取らない完成度とガーデン色で凄かったね…
アサリの舞台シリーズはちょいちょい制作側からの話を聞ける機会があるけど、ちゃんとガーデンごとの差別化をやってくれているので同じ世界観でも全然表現違うのが良い所よね。

 なんといっても一番色が出てたなっていうのがシャイネスだよね。規律立った教科書通りなんて評された戦い方をするレギオンでしたが、実際殺陣も全員で揃って隊列で動いたり、斉射したり。今まではどのガーデンもレギオンもある程度自由だったり散開してたからあそこまでビッチリやってくるとは…

 対するハコルベは、劇中で散々言われた日葵の理想である「自由で攻撃的なレギオン」というところ。ここは特にシャイネスとの比較でより際立つものだと思うけど、一番体現してたのはファンタズムのパートかね。舞台演出としてもそれまで舞台上の表現として別々にノイン回してたけど、羽来と徳子のパートでがっつり合わせてきたのはやるなーと。
 ファンタズムの中でも隊列として動くシャイネスと、徳子中心にあまりにも自由に動き回りながら(主に伊万里が)パスを繋いでいくハコルベの明確な差別化ね。

 

キャラ毎の感想

 今回は結構いろんな要素がギッチギチだったので色んなキャラにそれなりの出番があったのかなと。広く浅くみたいな感覚かも。まあ1作目だしね。

 割と刺さったキャラは多いので沢山感想書きたいけど流石に全員は無理なので一部で…

神郡鞠萠

 イルマの前情報で一番気になっていたキャラ。圧倒的に強いビジュアルとあまりにもアサルトしてる激重過去を携えての登場でしたね。
 二川がハコルベの紹介してたけど舞台はシャイネスメインだと思ってたので座組でハコルベのメンバーの名前が先に来ててびっくらしました。ただまあ燈みたいにがっつり深入りはされなかったので次回以降にそこら辺は期待か。

 ただその強さと生き様はちゃんと舞台で表現されててとても良かった。日葵との関係、伊万里との関係、過去の話、自分の信念とかがしっかりと出ていてこの女、かっけぇ…ってなってました。

 普通に日葵BIGLOVEなんだよなこの女。日葵の理想を特に強く支持していた一人だと思うけど、ちゃんとそこに自分と、共に戦った姉たちの存在があるから、なんなら日葵より理想にかける思いは強いのではないだろうか。

 と、日葵の理想を支持して共に戦うことを目指しているわけでしたが、そんな中で伊万里には「いいセンスしてるわね」と声をかけ、翡翠には「燻ってる命ならこの鞠萠に預けなさいな!」と言う。罪な女だぜ…。いや別に見境なく手を出してる(どっかの教導官と違って)訳では無く、鞍馬での姉たちに優しくしてもらって助けてもらった経験から自分も誰かに手を差し伸べられる人になりたいって言ってたんだけど。

 鞠萠様の最大の見せ場シーンのノインのところですが、トリアイナ持ち換えてぶん投げるシーンがあまりにもカッコいいんですよね。ズルいだろあれ。千香瑠も同じことやって?
 あの熱のあるシーンで自身の誓いを語るのはもうテンションぶち上がるよね。話してる内容は相当にキツイが。呪いなんかじゃないよ…多分…

諸井佐保

 見る前と後で一番印象が変わった子。実はこういう如何にもなお嬢様キャラはそんなに好きでは無かったので特段意識を向けていたわけでは無かったのだが、ぶっ刺さってしまったねぇ…

 何が良いって激情的であったり激しさであったりを持ち合わせているところなんですよね。普段は優雅に、毅然としているんだけど、それは常にじゃなくて感情を露わにする場面では取り繕うことも無くありのままの言動で振る舞うギャップにとても感じるものがあった。すくたれ者!

 こちらも日葵BIGLOVEの一人ですが、他の面々と違うのは「日葵の後を継ぐ」って言ってるところなんですよね。もちろん鞠萠とかも日葵の後を継いでイルマで自由で攻撃的なレギオンを作ったわけだけど、それは目指す道筋が近かったからなんだよね。ただ佐保は日葵のライバルとして居る訳で。同じ司令塔として、日葵を追いかけて道を共にしてきて切磋琢磨してきた佐保だからこその立ち回りと言うか生き方が見えて良かった。

 日葵のライバルとして日葵を守ると決意を露わにしたノインのシーンですが、まさに優雅と激情をあのワンシーンで見せてくれて凄かった。レジスタ発動からのバレエ(?)の振りしながらカムドノツルギ振り回して、そこから一気に激しい戦い方にシフトして鞠萠にパスを渡すまで全部合わせて諸井佐保というリリィをこれでもかと体現してきてかっこよすぎた。

辻本勇渚

 こちらは前から気になっていたキャラ。イケメンな女好き。イケメン、テスタメント、ソックスの長さが左右で違う…どっかで見たことあるな?

 序中盤は割とおちゃらけ感のある振る舞いでしたが、戦闘シーンで一気に畳みかけてきましたね…。超近接武器、いいよね。テスタメントの発動モーションも好き。

 そしてなんと言っても欠かせないのは歩結とのシーン。「何があっても歩結を守るって決めてんだ」、告白…?
 (元)パートナーの二人、助けた側と助けられた側で感じるものが代わってしまうが故のすれ違いは辛いね…。助けた側は引きずってほしくないし、助けられた側はどうしても引きずってしまう。いちか様で見た。

 まだまだ遺恨を残している感じしかないので次回以降にデカい何かがあるのを期待。

日比野羽来

 日比野羽来…………………………………………

 今作のヒロインです。辛い。あまりにも辛かったです。

 見る前の印象はまんま藍ちゃんでした。強化リリィじゃないけど。なんとなくふわふわしてて緩く可愛い感じのイルマの癒し枠かなぁなんて思ってました。甘ぇこと言ってんじゃねぇよ!って後ろから殴られた気分です。

 いや、ふわふわしてて緩く可愛いんですけど、あまりにも辛い役回りすぎた。優しい子なので意見が対立してしまっても頑張って間を取り持とうとして、時には自分の気持ちを押し殺して相手を立てたりして、そうして一人で抱え込んでしまって。

 日葵と共に迎撃戦で戦ってビジョンを共有して、またああやって戦いたいって日葵の気持ちを支持するけど、これまで共に戦ってきた御巴留や恋町と意見を違えてしまって。日葵は正面から対立しに行くことを選んだけど羽来はそうしたくなくて。皆で一緒に戦いたいけど日葵の気持ちも分かるし、かといって御巴留や恋町の意見に対立して不和を生みたくも無くての板挟みになってしまって。

 最終的に日葵が折れてイルマから去ることになって、せめてもの後押しでルド女を勧めて、こうして道を違えることになっても日葵を応援しているよって意思の表れだったんだろうけど、やっぱり根っこの部分ではまだ皆と一緒に戦いたいって思いがあるわけで。

 勧めた先のルド女で衝撃的な事実が露わになって自分が日葵を危険に晒してしまったと自分を責めてしまって、その折に日葵を助けるチャンスが来て、罪滅ぼしとも言わないが少しでも日葵の為になろうと必死で戦って、その末に日葵から「イルマには戻らない」と言われてしまうのが本当に辛い…
 もちろん日葵は何も悪くない。羽来もきっとそれが心の中で分かってるからこそ余計に辛い想いをしてしまうんだよね。わずかばかりの我儘として日葵にイルマに戻った方が、って口にしてしまうけど、日葵の意思も硬いから、日葵のことを想って自分は身を引いて後押しして、そうして見えないところで一人で泣き崩れちゃうのがね。俺も泣いた。辛い。

 御台場とたかなほみたいに、どっかでまた日葵とシャイネスで共闘する舞台をくれ……ルド女がどうなるのかまだわからんけど。真実の刃マジで楽しみにしてます。

吉井霞子

 今作唯一の3年生枠。3年生らしい凛とした立ち振る舞いも見せたが、それだけではない弱さであったり余裕の無い一面も見れて3年生としては珍しい感じだったね。

 一番最初のシャイネスのノインの「安心していってらっしゃい!」がとても好きなんですけど、あそこらへんの所作であったり件のセリフ一つで圧倒的な存在感と安心感を示してて、すごい3年生らしいというか年長者らしい余裕であったり皆の芯になってるような感じが出ててすごいかっこよかった。

 と、そんな強い一面を見せた後に、未来様の一報を聞いて感情を露わにする場面がやってきて。さっきと打って変わって本校防衛戦での激しくてがむしゃらな戦い方を見せて、幕張奪還戦での危険を顧みない行動であったり未来や風音の意思を繋ごうとする意志の強さを見せつけられて、ゾクッとしてしまった。

 あと、終盤のシャイネスノインのシーンで、霞子様のターンで誓いのサビが流れるのズルすぎた。いや誓い見れてないんですけど。未来の意思を継いで、未来や風音達の為に戦うという霞子様の生き様をこういう形でも表現してくるのは憎いねぇ。

一之宮日葵

 今作の主人公。 伊万里「あれ?私は?」 日葵とイルマの決別から始まり、ルド女での日葵を救うところまで、一貫して話の中心に日葵がいたね。

 これまでの舞台でルド女のリリィとしての日葵は見てきたけど、イルマの話は設定上で話されてたくらいだったので、そこら辺は結構楽しみにしてました。日葵が何を想い、どういう経緯を経てイルマを去ることになり、ルド女で戦うに至ったのかが描かれてましたが、中々にどうしようもない別れで辛いね。

 日葵も迎撃戦での経験が衝撃的だったからこそ少し無理してでも自分の理想を皆と実現させようとしたけど、結果として実ることも無く自分が身を引かざるを得ないような状況にまでなってしまって。日葵を支持してくれた人たちも居たけど、日葵自身としてもリリィとしてどうするのが一番いいかを考えた末に自分から身を引くことを選ぶことになったのは仕方がないにしても歯がゆさが残ってしまうよね。

 で、問題の羽来ちゃんとの最後の通話シーンなんですが、まあ初見の時は、「ルド女の皆が助けてくれたわ」「イルマにはもう戻らない」「ルド女にもファンタズムの覚醒者が出たの」「あの子を一人前のリリィに育て上げる。羽来みたいなね」と、即死級コンボを乱発して来ておいおいおい…と思ってしまったけど、それはやっぱり日葵としての義というか。
 羽来に誓った「理想のレギオンを作る」ってことだったり、イルマの皆と対立してしまった事、結果として自分からイルマを去る決断をしたこととかがあるから、日葵としては何としてでもルド女で自身の理想を実現させたいというか、そうさせないとイルマの皆と顔向け出来ないって思ってるだろうから、ああいう言葉が出てきてしまうんだろうなぁ…

 羽来ちゃんの項でも言ったけど、日葵は何も悪くないんだよね。ちょっと不器用と言うか、難しい感じの子。決して自分の信念を曲げない強さは持ってるけど、こういうところはまだ年相応なのかな。

 約束の行方でのイルマ側の動向も見れたり、その時点での日葵の立ち回りと言うか決意も見れたわけなのですが、約束の行方、その後で幸恵と日葵道を違えてるんだよな……
 日葵はイルマの皆と理想を実現させたかったけど、大きな対立を生んでしまったために自分から身を引くことを選び、羽来は皆と一緒に戦いたかったけど日葵の意思も尊重してその上で幸恵のいるルド女を勧めた。幸恵となら迎撃戦で経験した自由で華麗な戦いが出来ると信じてルド女で、テンプルレギオンで戦おうと決意した日葵だったのに幸恵はアイアンサイド作って道を違えることになってしまって…救いは無いんか?

 日葵の解像度が上がってしまったせいでまた真実の刃が楽しみになってしまった。どんな帰結となるのかわからないけど、せめて日葵の理想の実現にまた一歩近づいてくれ…じゃないと日葵も羽来も報われなさすぎる。

 

総括

 イルマ舞台、最高でした。すんげー辛かったけど。

 他のシリーズに比べて、戦闘面での絶望感があまり無かったかなって体感。ミミクリーの能力を持つギガント級なんて普通は結構苦戦するのでは…?という感じでしたが普通に対処してたな。

 その分と言うか、他シリーズに比べてより一層リリィの人間性とか関係性について強く感じるものがあったかなぁと。あまり特定のリリィとか関係性に深入りしたわけでは無かったけど、その分色んなものを見せつけられて関係性の暴力みたいな作品だった。

 あとは普通に新鮮だったね。当然と言えば当然だが、舞台としてはほぼ全員が新キャラだったわけなので、また全然違ったものが見れて面白かった。シリーズの初見からしか得られない栄養素もあるので、久しぶりの栄養補給でした。

 第2弾も決まったということで、次は現地行きたいね… 12月の新章にもイルマのリリィが出るとか出ないとかなので誰が出てくるのかも気になるところ。その前にメインのレギオンを教えろ。

 今回あまりスポットの当たらなかったリリィとか関係性が次回見れたり、更に深入りした話が見れたらいいね。日葵も出ないか?なあ

 では最後に一言

 わくひまはいいぞ

 

2023年4月28日