度々名前は聞いてたけどやったこと無いシリーズでしたが、プレイしたので感想まとめをば。
プレイしたのは「蒼の彼方のフォーリズム Perfect Edition」
なんか色々種類があるのでよくわからん…って思ってましたが、公式が便利なもの出してくれているので参考に。
あらすじ
反重力子の発見により開発されたアンチグラビトンシューズ、通称グラシュの開発により空を自由に飛べるようになった世界。
その中で生まれた空を飛ぶスポーツ、フライングサーカス(FC)。
主人公、日向昌也は過去FCの選手だったが、とある経験から挫折し、FCから離れた生活を過ごしていた。
そんな昌也の前に現れた転校生、倉科明日香。昌也は、空の飛び方を知らない明日香に飛び方を教えるようになり、明日香は空への興味を強めていき、FCに出会う。
明日香と、そして仲間たちと共に再びFCへ向き合う事となった昌也。FCを通じて皆と絆を深め、成長していく青春物語。
登場人物
倉科明日香
昌也達の住む四島列島、久奈浜学園に転校してきた少女。
昌也達から空の飛び方を教えてもらう中で、空を飛ぶことの楽しさ、魅力を知り、FCをやり始める。
常に元気いっぱいで素直。底抜けに明るく、好奇心旺盛で様々なことに楽しさを感じている。
鳶沢みさき
昌也のクラスメイト。低血圧で朝は弱い。
過去FCの経験があり、明日香に触発されたこともあり、明日香たちと共にFCを始める。
後輩の真白に特に好かれており、熱烈なアプローチを受けている。
食いしん坊でマイペース。
有坂真白
昌也達の後輩。みさきが大好き。
常にみさきに付いており、みさきがFCを始めたのに付いていく形でFCを始める
実家がうどん屋を営んでおり、自身も時々手伝いをしている。
素直でいつも賑やか。
一ノ瀬莉佳
昌也の家の隣に引っ越してきた少女。
昌也達とは別の高藤学園でFCをプレイしている。
真面目でしっかり者な性格だが、意地っ張りだったり先走ってしまう一面も。
感想・総評(ネタバレなし)
フライングサーカスという架空のスポーツを中心としているが、とっつきにくさなども全くなく、純粋な部活もの、青春ものとして面白かった。
FC側も恋愛側もどちらかがおざなりになっている訳でも無く、両方ともしっかりと描かれていたので全体的に好印象。
良かった点
- 部活ものとしても恋愛ものとしても十分面白いクオリティの高さ
- 多彩なキャラクターで描かれるストーリー
FCの場面と日常の場面、メリハリがしっかりとしていて丁寧に描かれてた印象。
登場キャラクターはそれなりに居るが、ちゃんと個々それぞれキャラが立っていて役割もあるので、取っ散らかってなくて良かった。
部活もの定番のライバル枠は個別ルートごとに違っていて、ちゃんとキャラに合わせたレベル設定と温度感で描かれていたのでちゃんとどのヒロインのルートでも成長を感じることが出来るので良い。
気になった点
正直なところ、特筆して気になった点はあまりなかった(ネタバレ範囲でややあり。後述)。公式の扱いに大きな忖度が見られることは結構気になるけど、そこは本編とは特に関係ないので割愛。(キャラ人気に合わせて真白とみさきだけ続編が作られてますがまあ…)
個別ルートは結構話の傾向が違ったりするので、そこは気にはなったけどストーリーの好き嫌いの好みの話かな?粗があるとかでも無いので、個人の感想の範囲。
総評
全体を通してクオリティも高く、緩急があって中だるみを感じないようなお話だったなと。
スポーツもの、部活ものはライバルが出てきて戦って負けて戦って…のテンプレの流れで、まああおかなも基本はそうなんだけど、キャラの多さであったり、個人戦であるがゆえに組み合わせ次第で同じキャラにスポットが当たっていても相手によって感じ方が結構変わるので飽きが全然来なかった。
努力の過程もしっかり描かれるし、それに伴う心情の変化とかも丁寧に書かれてたので、個別ルートそれぞれで、皆が何を考えているのか、何に悩んで苦しんでいるのか、何のために頑張っているのかっていうのが分かりやすかった。
FCの選手としての感情もそうだし、恋愛感情的な面でもごちゃごちゃし過ぎずに描かれてたのでそういう面でも感情移入はしやすかったかも。
それぞれストーリーにおける役割というか立ち位置があって、ちゃんとそれに沿って全体の流れとしても個別ルートとしての流れも大きく崩さずにまとめ上げていたので良かったです。
個別ルートのあるゲームあるあるなのですが、メインヒロイン以外のルートだと問題何も解決してないやんみたいなのがしばしばあるんですけど、あおかなはそこら辺も結構配慮してたなって印象でした。
感想・総評(ネタバレあり)
以下ネタバレありパートです。
最初に、キャラ的には明日香が、ルート的にはみさきが一番好きでした。
明日香はね、可愛い。元気で素直で真っすぐでキラキラしているのでまあそりゃ昌也もFCやるかぁ…ってなるよね。
ただまあ明日香ルートで少し不満を言わせていただくと、プロローグで出てきた話、どこ行った?というお話。
一番最初、謎の少女と昌也が別れるお話が入ってましたが、まあ流石にあれ明日香だと思うんですけど、結局回収されないまま終わったな…って。
回収しかけてたけど、結局気づいてないのでノーカン。続編であわよくば…とも思いますが、明日香Extraの制作発表はどこですか?
あとは、まあ明日香が天性のソレを持っていたのでやむなしかもしれないが、インフレが凄い。超次元FCしてた。
と、明日香の話をしたのでみさきルートのお話。みさきルートが一番面白かったなという感想。一番ちゃんとFCをしていた気がする。そして心情描写が上手すぎる。
共通6話で、明日香の才能に絶望したみさきがFCから離れようとする。そして過去には同じような形で昌也がみさきの才能に絶望してFCを離れた。この事実を双方ともに理解した上で、苦しみながらもがいていく様は部活ものとしてはこの上ないくらいに良いものだった。
みさきの苦しみであったり葛藤がこれでもかってくらいに書かれていて、そこから昌也と一緒に少しでも進んで行こうと、恐いながらも足掻いていく姿にちょっと苦しかったけど感じるものがあったね。
あと、みさきが優勝して、それでも尚昌也は燻ってるのはよかったなって。こういうの大体強引にでも主人公もああこれで良かったんだみたいに思って解決させちゃうことが多い気がするけど、そうせずに、ハッピーエンドにまとめなかったのは誠意というか真摯だなって思った。
Extra2気になっているので余裕が出来たらプレイしますかね。結構がっつりFCに触れているので面白そう。上げて落とすスタイル、嫌いじゃないよ。でもまた挫折を味わわせるのか…って気持ちもあるよ。
バレ無し感想でも言いましたが、それぞれのキャラの立ち位置でしっかりと話を構築してたなっていうのは凄く感じた。
圧倒的天才の明日香と、天才かつ秀才のみさき、言い方はアレだけど凡才の真白と莉佳。スポーツものなんかではよく見られる天才とそれ以外立場の対比とか心情をそれぞれのルートで描いていて、上手だった。
明日香は天才としてぽっと出のラスボスに挑む王道ルート。みさきは天才に敗れた秀才として自身の心と、そして共に戦った仲間に打ち勝つ為に努力をする。莉佳はひとつ殻を破れない中で努力と経験、そしてライバルを通じてそこを打開するべく模索する。真白はよくも悪くも初心者の立場として、勝つこと、強くなることを意識して自分とパートナーを信じて進む。四者四様の立場に沿った描かれ方をしていて面白かったね。
こういう時は架空のスポーツってのが便利なもので、既存のスポーツだと自由度がどうしても低くなっちゃう分同じような展開が起こりがちだけど、そういう事も特別無かったからそれぞれ楽しめた。もちろん自由に扱うためにはその分設定ちゃんと練る必要もあるから簡単ではないけど。
あと、これはいいなって思ったのは、個別で他のヒロインにもちゃんと救いというかなおざりにしないような形でやってたのは良かったね。
真白ルートで、昌也と真白が付き合い始めたのを皆に告白した後、明日香が昌也の居ないとこで泣いちゃうの、良かったし辛かったね…。共通で築いた関係性を無視しないでこういう形で回収してくれるのはとてもいい。
明日香ルートでも終盤の方で、みさき、真白、莉佳がそれぞれ”もしも”の話をしてたのも良かった。明日香ルート(他もだが)は夏の大会終わってから、明日香に特に注力して練習するってものだったから、少し変わってしまえば他の子であった可能性が十分に高いからこそ、こういった”もしも”の話をするのはちゃんと可能性を蔑ろにしない意思を感じた。
総括としては、結構に満足度が高かった。私としては伏線回収系とか複雑な話が好きなので、そういうのと比べてあおかなはピークとか最大値が凄い高いような場面こそあんま無かったんだけど、全体を通して一定以上の面白さを保ってたし、中だるみとかも無かったから総じて読み進めやすかったなと。
FCはゴリゴリに動くスポーツだから、中々ノベルゲーという媒体だと難しいのでは?と思うこともあるが、ノベルゲーだからこそ試合中に会話であったり指示を十全に差し込めるというか、差し込んでも特別違和感が無いので、割と適してるのかも。アニメ見てないのでそっちでどうなってんだろうかとは気になるね。今度見ようか。
あとはExtraのFILMIC NOVELの形式がどんなもんなのか。全く分からないのでどういったものを見せてくれるのか楽しみだね。Extra2も早めに手を付けたいところです。
2023年5月25日